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December 05, 2007

川の光

 静かなブームを呼んでいるという『川の光』(松浦寿輝著)という本を読みました。川の近くに住むクマネズミのタータ一家が道路拡張工事によって住処を奪われて、川上に移住する冒険のお話なのですが、

 途中、父親と弟とはぐれて一人になった主人公のタータが、助けてくれた老猫と別れて川に戻ると、すずめの赤ん坊が死にそうになっている場面に遭遇するという時のせりふです。↓↓


「あの妙ちきりんな猫のおばちゃんがいなかったら、あの静かな家で休ませてくれなかったら、餌を分けてくれなかったら、ぼくは死んでたかもしれない。命を救ってもらったことのお礼は、ブルー(筆者注:”あの妙ちきりんな猫のおばちゃん)に言うだけでは足りないんじゃないのか、とタータは思った。別の誰かの命を救うことで、借りを返す。そうやって貸しと借りが順ぐりに回って、この世は動いてゆく。そうなんじゃないかな。」*


 この一節を呼んで、昔、マリの女性に言われた言葉を思い出しました。
いきさつは省きますが、お金を借りていたのでそれを返そうとしたときのことです。『ホテルみたいに精算してさようなら、というのはだめ。夫が、家族がどこかで今度はお世話になるかわからないでしょ。日本とか海外に出てしまうと、わたし達家族は夫の世話はもうできないの。でも、あぁ、日本にはyokoがいるから、と思うと、安心して旅に送ることができるのよ。』

 もう一つ、思い出したのは、ソマリアの難民キャンプで働いていた友人から聞いたこと。

 ローカルスタッフから金を貸してくれと言われた彼は、最初は躊躇したのですが、『(難民キャンプでは殆ど手に入れることができない)タバコを吸う俺のために、彼らは出かけると必ず、タバコを買ってきてくれていた。金や物を貸したり借りたりというのは、ひとつのコミュニティにいるってことなのかもしれない。だとしたら、金を貸してくれというのは、もしかしたら、彼らのコミュニティの端っこに自分もいさせてもらえるってことなのかもしれない。彼から直接戻ってこなくても、他の誰かから(別の形でも)返ってくればいいのかもしれない』

 そういえば、このスタッフたちは、給料をもらうと、必ず友人の上司である日本人に『預かっててくれ』と頼んだそうです。自分で持っていると使ってしまうからとか・・・。

 『川の光』の中では、一期一会のように思えた一つ一つの出会いが、実は最後まで主人公達を見守ってくれることになるというお話です。この本のように、私もこれまで色々な人に出会ってきたけれど、やっぱりアフリカの人に言われたことって、ものすごく印象に残っているなぁ、としみじみ。

 なんだか、番外のお話ですみません。ちょっと思い出したので。
 アフリカとは全然関係ないですが、このねずみの大冒険のお話、とてもいいです。
 ぜひ読んでみてください。

(*『川の光』松浦寿輝著 中央公論社 p141より抜粋)

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